辛い仕事
■ 辛い仕事
辛い仕事
私が社会人になって一年もくらいでしょうか?
小さい頃から大好きだったお菓子業界に入社した私は、大好きなお菓子に囲まれてワクワク・ドキドキの毎日が続く…と思っていました。
ところが実際のお菓子業界というところは、私が想像していたほどワクワク・ドキドキな世界ではありませんでした。
お菓子メーカーには、作る部門が存在し、マーケティング部門が商品のブランディングを行い、私のような営業が各地のスーパーや量販店・飲食店に対して販売を行います。
オーソドックスな流通経路は「メーカー、卸問屋、小売店、消費者」の順で、この場合の営業は、卸問屋に商品を販売します。
どの分野の営業も似てるとは思いますが、まず、新商品・既存商品の紹介・提案を行い、見積もり作成から納品までのフォロー、そして、勉強会や試食会などの開催まで行います。
なんと言っても欠品・クレーム対応が一番辛いですね。
キャンぺーンの提案が通ると、その期間、開店前の準備や閉店後の片づけ作業なども行います。
経費削減や省エネの影響で営業時間外は冷暖房が入っていないところがあり、積み上げられた段ボール箱が減らない様子はいつも興覚めがしていました。
清掃、商品陳列、ディスプレイ、朝礼、発声練習、事務連絡・・・うー、始まる前から「うつ」になりそう。あー、やる気なし、毎日、朝起きた時点で気分が滅入ってしまう。
それでも、子供達がお母さんに買ってもらった喜ぶ顔が、毎日のやる気を引き出し、自分を支えてくれていました。
先輩の言葉
■ 先輩の言葉
先輩の言葉
そんなある日、手が空いたからと他店担当の先輩が商品陳列、ディスプレイまで付き合ってくれることになりました。
それまでの私は、疲れが原因なのか、精神的なものなのか、体調が優れずに居ましたから、
先輩が来てくれるというだけでも気分的に楽になれると喜んでお願いしました。
商品陳列、ディスプレイ作業をしながら当然のように仕事の話へと流れていきました。
「そう言えば、商品陳列、ディスプレイっておもしろいと思わない!?
商品の見せ方を変えただけで、商品価値もあがるし、売り上げが左右されるからね。」
?
それまでの私は単純作業で、商品陳列やディスプレイを行っていたようでしたが、先輩は、その作業の重要性を教えてくれました。
「そうですよね、商品は何も変わらないのに、お客さんの気持ちや目線に届くことで、売上が大きく変わりますからね。でも、これが本当のあるべき価値、その商品の実力なのかな!?」
「その通りだよ。そして、商品と同じように、優秀なビジネスマンとして実力がある君が、実力を発揮しないっていうのは“ずるくないかな”。君を信じて採用・抜擢してくれた人に失礼だし、君をここまでにしてくれたご両親にも申し訳ないよ。私はそう思うな」
自分のこと??
優秀な!?
実力ある君!
「えっ! いきなり何のこと? 優秀なビジネスマンって自分のこと? 確かに周りで応援してくれる人はいるし、両親にだって苦労かけてきたからな~。先輩、そこまで見てくれていたのかな・・・嬉しい」
本当なら、やる気を失っていた私に、「もっと気合い入れて仕事しなさい」とか「サボってばかり一」と叱責されてもおかしくないのですが、そんなことにはいっさい触れない先輩からの「実力がある君が実力を発揮しない」という言葉が私の胸に刺さりました。
辛い仕事をしていたのではなく、仕事を辛くしていた原因は、自分の気持ちだったのだなと気付かせてもらいました。
仕事に対する気持ちの変化
■ 仕事に対する気持ちの変化
仕事に対する気持ちの変化
それからは、お客さんが商品を手に取りやすい状態に保つ「前出し」を行い、陳列棚に「どの商品を」、「どの位置に」、「どの向きで」、「どのように」、「どのくらいの数」を陳列するのかを考えるようになりました。
天気や、商品の回転率なども考え、お客さんが来店するピークの時間帯の前後に行ったりすると売り上げ効果も違ってきて、大変面白い仕事だったんだと思いました。
なんと言っても、お客様からの言葉や笑顔がモチベーションをあげます。
先輩!本当にありがとうございました。
目の前の現実だけを見て叱ったり、怒ったりするのではなく、私の成長を信じての言葉は、私のやる気スイッチをONにし、楽しく仕事に向き合うことができるようになりました。
そして、お世話になった人たちへの恩返しであることも教えてくれた先輩の言葉は、今も心に残っています。
今は、逆にリーダーとして部下を信頼し「やる気スイッチON」になる魔法の言葉を使っています。
ただし、もともと大好きだったお菓子のおかげで、想像通り、少々、太りぎみではあります!?
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