MusikPlatzの音楽ひろば通信第2号【チェコの歴史から知るスメタナ作曲「モルダウ」と『我が祖国』】

MusikPlatzの音楽ひろば通信第2号【チェコの歴史から知るスメタナ作曲「モルダウ」と『我が祖国』】

今回のテーマは、日本から遠く離れた国の、でも日本人が何故か惹かれるあの曲です。


まずは聴いてみましょう。

そう、このメロディー!
誰もが一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。
今回は、このスメタナ作曲の「モルダウ」についてお話ししましょう。

『我が祖国』の構成と特徴

『我が祖国』の構成と特徴

『我が祖国』の構成と特徴

『我が祖国』はチェコの作曲家ベドルジフ・スメタナが作曲した6つの交響詩からなる連作交響詩です。
私たちがよく知っている「モルダウ」はその2曲目です。

『我が祖国』は以下の6曲からなっています。
第1曲:ヴィシェフラド
第2曲:モルダウ(ヴルタヴァ)
第3曲:シャールカ
第4曲:ボヘミアの森と草原から
第5曲:ターボル
第6曲:ブラニーク

『我が祖国』はチェコの雄大な自然や、歴史的に意味のある場所をテーマに作曲されています。
例えば1曲目のヴィシェフラドはプラハにあるヴィシェフラド城、モルダウはチェコ最長のヴルタヴァ川、そしてターボルとブラニークはチェコに大きな傷痕を残した宗教的な争いに由縁のある土地です。

スメタナはチェコの国民楽派を代表する作曲家です。
国民楽派というのは、自分の民族独自の歴史や文化を大切にし、楽曲に取り入れた音楽家のスタイルで、この『我が祖国』はまさに、チェコ人の歴史や心が刻まれた作品なのです。

あのメロディーはスメタナのオリジナルではない!?

あのメロディーはスメタナのオリジナルではない!?

あのメロディーはスメタナのオリジナルではない!?

まず、こちらを聞いてください。

そう、これはまるで「モルダウ」のメロディーだと思う人が多いのではないでしょうか。
これは『La Mantovana ラ・マントヴァーナ』という曲で、16世紀イタリアのテノール歌手ジュゼッペ・チェンチ(Giuseppe Cenci)が作曲したものです。


チェコでは童謡『Kocka leze dirou(穴から猫が)』がこの曲のの影響を受けた曲と考えられています。

そして、もう皆さんお気づきですよね。
私たち日本人には「こぎつね コンコン 山の中〜♪」に聞こえますね。
これは古いドイツ民謡、『きつねがガチョウを盗んだ/Fuchs, Du Hast Die Gans Gestohlen』を原曲とする日本の童謡です。

日本人に「モルダウ」が好まれるのは、もしかしたらこの曲の中に懐かしい童謡のメロディーを思い出すからかもしれませんね。

チェコってどんな国

チェコってどんな国

チェコってどんな国

チョコ共和国は、ヨーロッパのほぼ中央に位置し、ドイツ・オーストリア・ポーランド・スロバキアの4カ国に囲まれています。
首都はプラハ、公用語はチェコ語です。
日本からチェコに行くには、飛行機で14時間〜20時間ほどかかります。

この地域は昔から地理上ばかりでなく、政治・経済・文化の面でもヨーロッパの中心として各地にいろいろな影響を与えて来ましたが、同時に、侵略や他国からの支配が繰り返し行われ、歴史に翻弄されてきました。

14世紀には今でも現存するプラハ・カレル大学が国王によって創設されるなどなど学芸に力をいれ、プラハは当時のヨーロッパ文化の中心となっていました。
15世紀半ばからはハプスブルク家の支配下に置かれたことにより、政治や文化の中心としても発展しました。
ハプスブルク家の統治は20世紀初めまで続きました。

ナチスドイツの占領下にあった第二次世界大戦が終結した後は、ソ連の下で社会主義体制の国となりました。
1968年には「プラハの春」として知られている民主化運動も起こりましたが、ソ連軍に制圧され、運動は失敗に終わりました。
その後も社会主義体制は続き、チェコ共和国が独立したのは1993年になってからのことです。

プラハの街並み

プラハの街並み

もう一つ、チェコに大きな傷痕を残した宗教戦争についても触れておきましょう。

チェコ人の多くはキリスト教徒でした。
キリスト教の宗教革命といえはドイツのマルティン・ルターが知られていますが、ルターより100年前、チェコではヤン・フスがローマ・カトリック教会の腐敗を批判し、多くの国民に支持されていました。フスは異教として破門され、火炙りの刑に処されました。
そのことはフスを支持したフス派の人々の怒りをかい、そして、彼らを中心とするプラハ市民は反乱に立ち上がり、多くの犠牲者が出ました。
この動きは100年後のルターによる宗教革命にも繋がっていきました。

他国からの支配、そして同じ民族通しによる宗教戦争の歴史、この全てがチェコ人の国民性をつくってきたのでしょう。

『モルダウ』の5曲目、ターボルはフス戦争におけるフス派信徒たちの英雄的な戦いを讃えたものです。
そして6曲目のブラニークはは中央ボヘミア州にある山で、ここにはフス派の戦士たちが眠っているのです。

プラハ城 聖ヴィート大聖堂内のミュシャ作のステンドグラス

プラハ城 聖ヴィート大聖堂内のミュシャ作のステンドグラス

今すぐ「モルダウ」

今すぐ「モルダウ」

今すぐ「モルダウ」

せっかくなので、チェコの歴史や雄大な自然を思いながら、『我が祖国』を通して聴いてみましょう。

演奏:ケルンWDR交響楽団
指揮:セミョン・ビチョコフ

生演奏で「モルダウ」

生演奏で「モルダウ」

生演奏で「モルダウ」

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いかがでしたか?
歴史やチェコの人々のことを思いながら聴くと、また違った景色が見えてきそうですね。
是非、通して聴いてみて下さいね♪




この記事のライター

《音楽ひろば通信》では毎回1曲、またはひとつのテーマで、クラシック音楽の魅力・楽しみ方をご紹介します。

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