本書「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」が、大変参考になったので、簡単にご紹介します。
興味を持ったら、ぜひ、一度、本書を読んでみてくださいね。
西剛志【著】
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。
T&Rセルフイメージデザイン代表取締役。
1975年、宮崎県高千穂生まれ。
東京工業大学大学院非常勤講師や特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立
老人脳とは?
■ 老人脳とは?
老人脳とは?
脳が若いままの人と、老人脳になる人の差はどこにあるのか?
「スーパーのレジ待ちの列に割り込む老人」
「人目をはばからず、店員に怒鳴り散らす老人」
そんな迷惑老人たちが目についてしまう昨今……
なぜ、彼らは自省できないのか。
それは脳の老化、老人脳であることが原因です。
・周りが気にならなくなる。
・記憶があいまいになる。
・同じ主張を繰り返す。
・感情的になる
年をとるにつれて、そのような傾向になる人が多いのです。
こういう行動をとってしまうのは、脳の老化現象の1種で、著者はこれを老人脳と呼んでいます。
一方で、80代や90代になってもどんどん新しいことに挑戦し、元気に前向きに若々しく生きている。そういう人はスーパーエイジャーと呼んでいます。
スーパーエイジャーと老人脳になる人の差を一緒に考えていきましょう。
本書の著者は、脳科学者として脳が生活スタイルや習慣でどう変わるか、成果を上げる人とあげられない人の差など、様々な脳の研究をしてこられた方です。
ちなみに、老人脳は後天的なものであり、日々のさまざまな習慣の積み重ねによって変えることができるということです。
習慣を変えれば、老人脳を回避することができるということです。
何もしなければ、年をとるにつれ、脳の老化は進んでしまうのです。
脳は年齢とともに萎縮する
■ 脳は年齢とともに萎縮する
脳は年齢とともに萎縮する
脳は通常30代から少しずつ萎縮が始まり、60代半ばになると、MRI検査の画像を見てすぐわかるレベルの明らかな萎縮が起きます。
そのまま何の対策もしないと老人脳になっていきます。
老人脳になると…
新しいことをするのがおっくうになる。
物忘れが多くなる。
無配慮になる。
ミスが多くなる。
耳が聞こえなくなる。
このような症状が現れます。
脳の情報処理能力は18歳がピークで、その後だんだんと下がっていくので、情報処理能力を発揮するような仕事は、脳科学的に見れば若い人の方が向いていることになります。
一方で50代以降でも伸びる能力があります。
それは語彙力です。語彙力のピークは67歳だそうです。
年齢とともに蓄積されていくものを結晶性知能と呼び、語彙力もそのひとつです。
また、相手の気持ちを読む能力は、10代以下の人が低く、そして20代になって急激に伸び、ピークは48歳です。
それ以降はぐんと落ちていき、50代60代とどんどん下がっていきます。
相手の気持ちを読む能力が衰え50代ぐらいからだんだん周りのことを気にしなくなる人が多くなります。
別に悪気があるわけでなく、脳の能力が落ちていくということだとか。
こうした傾向は着るものにも影響し、家着のまま外出したりして人目が気にならなくなります。
そして、相手の気持ちを読む能力が衰えていくと、いわゆる失礼な老人、キレる老人になってしまいます。生意気な態度をとったり、自分の思い通りにならないことで機嫌がわるくなったりします。
48歳を超えたら、自分が老害にならないように、相手の気持ちをしっかり考えることに意識を向けていく必要があると思ってください。
脳の老化度がわかる方法
■ 脳の老化度がわかる方法
脳の老化度がわかる方法
脳の老化度がわかる方法は、ずばり、片足立ち、診断法です。
その場で立ち上がり、目を閉じた状態で片足立ちをして、何秒間片足で立っていられるかを測りましょう。
目を閉じて30秒以上片足で立っていられれば、脳はまだまだ若い状態ですが、30秒未満の人は老人脳が進んでいるかもしれません。
バランス感覚が脳の状態と比例しているからです。
ただ、落胆しないでください。
今は、出来なかったとしても、目を閉じて30秒以上立てるようにトレーニングをしていくことで、脳を鍛えることができるのだそうです。
最新研究で、年をとっていくことには抗えないが、脳はいつまでも若々しく保てるということがわかっています。
片足立ちの練習は、脳を若々しく保つ方法のひとつですから、短時間でもいいので練習しましょう。
老人脳になる人、ならない人
■ 老人脳になる人、ならない人
老人脳になる人、ならない人
この老人脳にも工夫次第で、差がでるとのことです。
頑固な老人、キレやすい老人がいる一方で、いつもニコニコ笑顔で温厚で優しい老人の方もいます。
世の中の2種類の老人の違い、それは老人脳になっているかどうかが大きかったようです。
脳を若々しく保つような生活習慣を送っている老人は、人の気持ちを読む力がいつまでも衰えず、多くの人に囲まれ満足した老後を送ることができるのです。
・多くの人と積極的に関わって活動的な老人(スーパーエイジャー)
・家にこもって外出をしない、人とあまり関わらない(老人脳)
この差です。
老人脳にならないマインド
■ 老人脳にならないマインド
老人脳にならないマインド
主観年齢を若くする
■ 主観年齢を若くする
主観年齢を若くする
自分は若い!まだまだ現役だ!と本気で思い込んでください。
そうすることによって、実際に脳も体も若くなるということがわかっています。
高齢になってもSNS、インスタ、ユーチューブなどで、自分のコンテンツを発信している方も増えていますが、本当に若く見えますよね!?
実際、主観年齢を若くすることは、脳の老化を防いでくれます。
韓国の研究で59歳から84歳の被験者68人の主観年齢と同の状態を分析したところ、主観年齢を実年齢より若いと答えた被験者は、灰白質の密度が高かったほか、記憶力も良く、うつの傾向も低かったということがわかっています。
ハーバード大学の研究では、22年前の自分に戻ったような生活を送らせたら、主観年齢を22歳若くしたことによって、実際に若返ってしまったということです。
体にとっても脳にとっても若返りはいい方向に作用します。
脳内イメージを変化させ、それによって生理的反応にまで影響があり、健康状態がより良くなっていくのです。
いくつになっても若作りをすること、自分は若いと思いながら行動することは極めて重要なことなのです。
逆に、自分の年齢に対し、実年齢よりも8歳から13歳高く感じている人は、死亡リスクや病気リスクが通常より18~35%も高かったそうです。
今日から自分は本気で若いのだと思い込むようにしましょう。
欲と生きがいを持つ
■ 欲と生きがいを持つ
欲と生きがいを持つ
私たちは年をとるにつれて欲が少なくなってくるように思えます。
最近、食べたいと思うものがなくなってきたという食欲の薄れ、
異性の興味が薄れてきたという性欲の薄れ、
食欲性欲などの生理的欲求は、年をとるにつれて減っていくそうです。
なぜなら、やる気を生み出す脳内ホルモン、ドーパミンが加齢とともに減っていくからです。
ドーパミンが減ると、食欲も性欲も低下していきます。
しかし、一方で欲があった方が長生きできるという研究があるのも事実です。
例えば、食欲のある高齢者の方が長生きする傾向にあり、食が細い高齢者は食欲旺盛な人達に比べ死亡リスクが2倍以上に高まるということもわかっています。
長生きのためにも欲の原動力となるドーパミンを増やしていこうではありませんか!?
そして、ドーパミンは簡単な方法で増やせます。
笑顔を作る
好きな音楽を聴く
体を動かす
好きな人の写真を見る
スポーツする、観戦する
嬉しいことが起きることに参加する
新しいことにチャレンジする。
こういった習慣がある人はやる気が衰えず、脳がいつまでも若い可能性があります。
また、年をとるにつれて増える欲もあるんですよ。
それは幸せに対する意欲です。
幸せに対する意欲と密接に関係しているのがオキシトシンといわれるホルモンです。
オキシトシンは別名愛情ホルモンとも呼ばれ、人や動物などとつながった瞬間に出るホルモンです。
犬や猫を飼っている人、
子供と触れ合う機会の多い人、
は、オキシトシンが出て幸福感を感じやすいと言われています。
そして驚くべきことに2022年の最新研究では加齢と共にオキシトシンの量が減るどころか、むしろ増えるということがわかってきました。
ドーパミンは減るがオキシトシンは増えていく。
このことからわかるのは、人はいくつになっても幸せを求め、その幸せはつながりを通して得られると言うことです。
生理的な欲求が減り、人とつながることや人に貢献することを、年をとるにつれ求めるようになるのです。
お金よりも人の役に立ちたい!感謝されたい!という気持ちが年齢とともに高まるのはこのためだったのです。
さらに、生きがいがある人はない人に比べ、認知機能が高いということがわかっています。
ですから、脳を若々しく保つためには、生きがいを持つことも非常に重要です。
生きがいと言ってもシンプルでよいと思います。
植物を育てたり、アイドルを応援したり、切手を集めたり、ゴルフを極めたい、旅行をしたい、孫の手助けをしたいなど、本当に何でもOKです。
ネガティブな言葉を使わない
■ ネガティブな言葉を使わない
ネガティブな言葉を使わない
あと、絶対に持つべきマインドとしては、脳が老化するネガティブな言葉を使わないようにすることです。
私たちの使う言葉が、私たち自身を作っていると言われているように、実は私たちが普段口にする言葉というのは、多大な影響を及ぼしています。
そのためにも、著者は次の3つのワードを禁止にすることをお勧めしています。
・老けた
・年をとった
・もう若くない
これを3大NGワードにしましょう。
そして、さらに気をつけてほしい言葉は
ああ疲れた
もう嫌になる
とか、そんなことをできるわけない
といったネガティブな言葉です。
こういった言葉を皆さん、日頃何げなく使っていないでしょうか?
こうした言葉は脳に悪影響をもたらしています。
どういう言葉を使うかで、無意識のうちに行動が変わってしまうのです。
だからこそ、どのような言葉を使うのか重要で、皆さんにはマイナスの言葉、ネガティブな言葉を使わないようにしてほしいのです。
言葉によって、脳がその気になり、思考をフリーズさせてしまうからです。
他にも嫌だ!運が悪い!できない!無理!もう年だから!時間がないから!面倒くさい!あの人のせいだ!あの時は良かった!
など、脳にマイナスになる言葉には、ぜひ気を付けてほしいです。
対策が1つあります。
マイナスの言葉を使った後に「でも」を付け加えてみましょう。
でもの法則です。
例えば、疲れたなと言ってしまったら、「疲れた、でも」と続けるんです。
「でも」、以降の言葉はどんなものでもOKです。
疲れた…でも頑張った
疲れた…でも、その分成果があった。
疲れた…でもいい疲れだ
マイナスの言葉を口にした後に「でも」を付け加えるだけで、その後には必ずプラスの言葉が来ます。そして、「脳は文章の一番最後に来た情報を印象に残しやすい」という性質があるのだとか!?
いいこと知りましたね~。
80歳でも、脳が老化しない人がやっていること
■ 80歳でも、脳が老化しない人がやっていること
80歳でも、脳が老化しない人がやっていること
デジタルツールをどんどん活用しまくる
■ デジタルツールをどんどん活用しまくる
デジタルツールをどんどん活用しまくる
新しいことにトライしてみましょう。
老化脳になると、新しいデジタルツールやテクノロジーが出てきても、自分にはできないと勝手に決めつけてしまいます。
しかし、それではどんどん脳の老化が進んでいってしまいます。
例えば、ツイッターやインスタグラム、FACEBOOKなどのSNSは高齢者ほどやったほうがいいと著者はいいます。
それは認知機能を上げる効果をかなり期待できるからです。
特に高齢になり、外に出て人と会う機会が少なくなった人は、人とのコミュニケーションを良くするツールとして、SNSを活用することをお勧めします。
自分は重要な人を実感できる場を作る
■ 自分は重要な人を実感できる場を作る
自分は重要な人を実感できる場を作る
自己肯定感という言葉を最近よく耳にしますが、自己重要感という言葉を聞いたことがあるでしょうか!?
自己重要感とは、自分は他者や社会にとって重要な存在であると思う感覚です。
人は誰でも自分のことを重要な存在であると思いたい欲求があります。
自己重要感を感じることができないのは、脳にとってストレスであり、そのストレスが脳にダメージを与え、最終的に認知症のリスクが高まってしまうということがわかっています。自分は誰からも必要とされていない。自分は誰の役にも立っていないと思うとストレスを感じるのがわかるでしょう。
結果、自己重要感が大きく低下し、認知症のリスクが高まってしまうのです。
自分は誰かに必要とされている。
誰かの役に立っていると感じることができれば、とても幸せな気分になりますよね。
ですから、自分は重要な人だと実感できる場を作ることが重要なのです。
とはいえ、間違った形で自己重要感を満たそうとしては、いけません。
キレる老人は、間違った形で社会や他者とのつながりを作ってしまっている例です。
自分に注目してもらい、自己重要感を満たそうとしてしまっているんのです。
同様に、マウンティングも自己重要感のダメな満たし方であります。
マウンティングすることで、俺はお前より偉いのだと自己重要感を満たそうとするわけですが、マウンティングされる側はたまったものではありません。
いずれ、あなたの元からみんな離れていってしまうでしょう。
いつまでも働き続ける
■ いつまでも働き続ける
いつまでも働き続ける
働くことによって
自分は仕事をして社会の役に立っている。
誰かの役に立っている。
といった自己重要感が大きく高まるでしょう。
実際に65歳以上の人で働いている率が高い圏の人たちは長生きする傾向にあることも調査でわかっています。
働くことには、老人脳の予防の要素がたくさんあります。
例えば、社会や人とのつながりができる。
自分の役割が生まれる。
収入があることで、お金の不安を軽減できる。
体を動かすことで、脳を活性化できる。
作業することで、前頭前野を活用できる。
予定を入れることで、やる気が高まる。
など、まさにいいことだらけなんです。
簡単な紹介になりましたが、もっと詳しくしって実行していきたいと思われた方、ぜひ、
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」西 剛志【著者】を読んでみてくださいね。
人生100年時代、脳の老化を防ぎ、いつまでも健康で鮮明な脳でいたいものですね。