そもそもナシレマとは!?
■ そもそもナシレマとは!?
そもそもナシレマとは!?
そもそもナシレマとは、料理名であり「炊き方」なんだって!?
ナシレマ(Nasi Lemak)は、マレーシアの国民食です。
「ナシ」はマレー語でご飯、「レマ」はココナッツの油脂やコクを意味します。
つまりナシレマとは、ココナッツミルクで炊いたご飯そのものを指す言葉なのです。
ここに一つ目の落とし穴があります。
ナシレマは「ある一皿の料理名」であると同時に、「ご飯の炊き方の名前」でもあります。
ですから、ナシレマ皿の中身は店によって驚くほど変わります。
基本のセットは、ココナッツで炊いたご飯に、揚げた小魚のイカンビリス、ピーナッツ、ゆで卵、キュウリ、そして辛味ソースのサンバル。
これらを全部混ぜていただきます。
もともとは農家の人が畑仕事の前に食べる朝食が始まりとされ、今では屋台からホテルの朝食まで、時間を問わず愛される存在になりました。
面白いのは、その健康性です。
米誌『TIME』が「世界の健康的な朝食」の一つとして紹介したことで、庶民食でありながら栄養バランスの良さでも注目されました。
一方で、ご飯とココナッツ油脂が主成分の高カロリー食でもあり、マレーシア政府は学校給食での提供回数を抑えるよう指導しているほどです。
愛されすぎて政府が心配する。それほど生活に根づいた一皿なのです。
「太る朝食」か「滋養の朝食」か、独断の見方
■ 「太る朝食」か「滋養の朝食」か、独断の見方
「太る朝食」か「滋養の朝食」か、独断の見方
ここで少し、健康という視点から主観ですが、添えておきます。あくまで一つの見方としてお読みください。
素材を一つずつ眺めると、ナシレマは意外に滋養に富んだ組み合わせだと感じます。
ご飯を炊くココナッツの油脂は、南国の朝にエネルギーを補ってくれる存在ですね。
サンバルの唐辛子に含まれる辛味成分は、体をぽかぽかと温め、代謝を後押ししてくれるような印象があります。
カリカリのピーナッツはビタミンEを含み、抗酸化のイメージにつながる素材。小魚のイカンビリスはカルシウムやタンパク質を、ゆで卵は良質なタンパク質を届けてくれます。
辛さでほどよく汗をかき、香ばしさで箸が進み、食べ終えるころには不思議と体が軽くなる。疲れた朝や、これから一日動く前にこそ効いてくる一皿だと、筆者は思っています。
もっとも、良いことばかりではありません。何しろ主役はご飯とココナッツの油脂ですから、カロリーも脂質もしっかりめ。おいしくて箸が止まらないぶん、食べ過ぎには注意が必要です。
先ほど触れた政府の指導も、裏を返せば「ついつい食べ過ぎてしまうほど魅力的」であることの証しなのでしょう。
滋養もあるが、いただくのはほどほどに。この光と影の二面性もまた、ナシレマという料理の奥行きだと、感じています。
なぜ、マレーシアとシンガポールで味が違うのか
■ なぜ、マレーシアとシンガポールで味が違うのか
なぜ、マレーシアとシンガポールで味が違うのか
「一度食べてみたい。まずは、近場でと思ったけど、本場と日本はどこか違うの?」
この問いに答える鍵は、意外にもご飯ではありません。サンバルなんだとか?。
店の評価は、サンバルで決まる
マレーシアには「ナシレマがおいしい店とは、サンバルがおいしい店のことだ」という言い回しがあります(出典:マレーシアごはん malaysianfood.org)。
サンバルは唐辛子に玉ねぎ、ニンニク、エビの発酵ペーストなどを合わせ、油で長時間じっくり煮詰めて作る辛味ソース。
これで店主の個性がすべて宿ってしまうんですね。
だからこそ、マレーシア人はナシレマ談義を始めると止まりません。「どこのサンバルが一番か」は、彼らにとって永遠のテーマなのです。
シンガポールの「甘さ」と、ある事件
では、隣国シンガポールのナシレマはどう違うのでしょうか。
現地在住者の観察によれば、マレーシアのサンバルは辛さのパンチが効いているのに対し、シンガポールのものは甘めでマイルドな傾向があるといいます。トッピングもフライドチキンなど揚げ物が豪華になりがちです(出典:Singapore Style)。
どちらが良い悪いではなく、国民性が味に出ているのが興味深いところです。
この「違い」は、ときに国のプライドをかけた事件にも発展します。2015年、シンガポール独立50周年を記念して、現地マクドナルドが「ナシレマバーガー」を国民的バーガーとして発売しました。すると多くのマレーシア人から抗議が殺到したのです。ナシレマは我々のもの、シンガポールに国民食を名乗らせない、というわけでした。
たかがご飯、と侮ってはいけません。ナシレマは、両国にとって「魂の食べ物」なのです。この背景を知っているだけで、現地で口にする一皿の味わいは何倍にも深くなります。
ということで、結論が出せない。ナシレマに「正解」はない
■ ということで、結論が出せない。ナシレマに「正解」はない
ということで、結論が出せない。ナシレマに「正解」はない
ここまで読まれた方は、ある事実に気づかれたかもしれません。
ナシレマには、目指すべき「唯一の正解の味」が存在しないのです。
料理名でありながら炊き方でもあり、味の核であるサンバルは店ごと家庭ごとに違う。マレーシアの中でも、地域によって唐辛子の種類も添える魚も変わります。つまり「本場の正しいナシレマを食べる」という目標設定そのものが、少しずれているのです。
正しい向き合い方は、こうです。無数にあるバリエーションの一つに出会い、自分の「これが好き」を見つけること。
この発想の転換には、大きなご利益があります。「本場に行かなければ本物は食べられない」という思い込みから、自由になれます。日本国内にも、それぞれに個性を持った本格的なナシレマが、確かに存在しているからです。
日本で出会える、5つの「変わったナシレマ」
■ 日本で出会える、5つの「変わったナシレマ」
日本で出会える、5つの「変わったナシレマ」
ここからは、注目する日本国内のユニークな一皿をご紹介します。
旅の予習として、あるいは旅の代わりに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
一つ目は、視覚のインパクトです。渋谷・表参道の「マレー・アジアン・クイジーン」では、ナシレマの王道に加え、姉妹料理のナシクラヴ(Nasi Kerabu)が楽しめます。バタフライピー(チョウマメ)の花で真っ青に染めたハーブライスを使い、ココナッツではなくハーブの香りが主役。日本では滅多に出会えない一皿です。
二つ目は、異国情緒です。代々木上原の「東京ジャーミイ ハラールマーケット」は、日本最大級のモスクに併設されたハラールスーパー兼カフェ。週末を中心に、バナナの葉や専用の紙でピラミッド型に包んだ「ナシレマ・ブンクス」が並ぶことがあります。これは屋台文化そのままの、最もローカルなスタイル。美しい建築を見学したあとに味わえば、忘れられない体験になります。
三つ目は、奥深さです。芝公園の「ペナンレストラン」は、美食の街ペナン島の料理に特化した珍しい店。マレー系と中華系が融合したニョニャ(プラナカン)料理のニュアンスを持つナシレマは、サンバルの味付けやおかずのスパイス使いが一味違い、エビの旨味と甘辛さが際立ちます。
四つ目は、屋台の臨場感です。丸の内や大手町、虎ノ門などのオフィス街に曜日ごとに現れるマレーシア料理のキッチンカー(例:Makan Makan)。屋外でハコ弁当を受け取るスタイルは、現地のホーカー文化そのもの。豪快なサンバルチキンが山盛りの一皿は、日本のビジネスパーソン向けに量を増やしつつ、味は本格派です。
五つ目は、非日常です。木更津のアウトレット近く、多国籍なクルーが働く「パプリカホテルです」の1階にあるレストラン「パプリカ」。100パーセントハラールの名店で、まるで高級ホテルにいるような異国情緒のなか、本場の味に浸れます。
青いご飯、モスクのピラミッド弁当、ニョニャの奥行き、キッチンカーの豪快さ、そしてホテルの非日常。同じ「ナシレマ」という名前でも、これだけ表情が違うのです。正解がないからこそ、選ぶ楽しさがあります。
あなたは、どの入り口から始めますか
■ あなたは、どの入り口から始めますか
あなたは、どの入り口から始めますか
最後に、一つだけ問いかけさせてください。
あなたは、作る派でしょうか。ココナッツミルクとサンバルを取り寄せ、自宅の台所で本場を再現する。
それとも、食べる派でしょうか。日本の名店を巡り、自分好みのサンバルを探し当てる。
あるいは、直接感じる派。マレーシアやシンガポールへ飛び、屋台の匂いごと味わう。
はたまた、SNS映え派。あの真っ青なハーブライスを、まず一枚に収める。
どれを選んでも、間違いではありません。ナシレマに正解がないように、その楽しみ方にも正解はないのですから。
「本場の味を知らなければ」と気負う必要はありません。まずは近くの一皿から、あなたのナシレマの旅を始めてみてください。
そしていつか現地に立ったとき、日本で出会った味との違いに、きっと小さな感動を覚えるはずです。
その一口が、あなたとマレーシア、そしてシンガポールを、静かに結んでくれます。
ボクの名前は「うけうり君」TVや先生から学んだ知識を、みんなに教えてあげるのだウリ♪